4月12日(木)~17日(水)の6日間、昨年のHondaエコマイレッジチャレンジ全国大会高校生部門での優勝の副賞として招待された文化交流プログラムに自動車部の3年生部員5名と顧問2名が参加し、ベトナムの文化に触れてきました。
現地での様子はその都度現地レポートとして紹介させていただきましたが、帰国後、成長した部員がベトナムでの体験を振り返って感じたことを改めてお伝えしたいと思います。
まずは何よりもプログラム期間中4月14日(土)15日(日)に行われたHondaエコマイレッジチャレンジ2018第9回ベトナム大会での様子を、部長でありドライバーでもある田中くんの声を交えてお伝えしたいと思います。
ベトナム大会は国内の大会とエンジンの規格が違うだけで、燃費の良さを競うという趣旨は同じです。
市街地を会場とした特設コースを今回参加する168チームが時間差をつけて走行します。
練習走行では、スタート後の直線から続く第一コーナーで、昨年の国内大会でトラブル続きだった田中くんが慎重になって大幅に減速してしまい、このままでは本番でタイムオーバーになり兼ねないとすぐに作戦会議が開かれました。
コーナーでの減速を抑えられないか、惰性で走る距離を減らしてエンジンをかける回数を増やせないか検討しましたが、田中くんはどちらも拒否したそうです。
「周りからはメンタルが強いと言われるけど、そうでもなかった」と自嘲する田中くんですが、3年生になり、部長になり、今までよりも責任感が増した分、無茶ができなくなったのだと思いました。
ましてや昨年トラブル続きだったこともあり、今回ベトナム大会に持参したマシンを破損してしまえば今年の国内大会に出場できるマシンは現在製作中の1台だけになってしまいます。
チームのために無茶な運転はしたくない、でも燃費を落とすようなこともしたくない。
本番走行にはエンジンをかけるタイミングを変え、ブレーキを踏まなくてもいいように最高速度を下げて挑むことになりました。
それでも本番走行では8周するので途中から速度を保ったままコーナーを曲がれる感覚をつかみ、周回時間を管理してくれていたチームメイトから最後の2周はバックストレートでもう一度エンジンをかけるよう指示がありましたが、規定時間内に記録を残すことができました。
前述したように国内大会とエンジンの規格が異なるため公式記録にはなりませんが、およそ1700㎞/ℓと昨年の本校の記録より少し燃費を向上させることができました。
「後でデータを確認したらラインどりに関してはうまくいっていました。昨年のEV大会の練習でしっかり走っていたのでラインどりは習得できたかなと思います。」と成果をあげられたことに満足している様子でした。
「それでも、ドライバーとしてクリアしなければならない課題が自分にはまだまだたくさんある。」
あと2年くらいあればな、残り一年じゃとても足りないと言いながらも国内大会への意気込みを見せてくれました。
走行以外のところでは、参加者の熱意がとにかくすごいということが印象に残ったようでした。
走行時だけじゃなく、整備中もマシンの周りには常に人だかりができ、質問できるタイミングになると次々と質問が飛んできたと言います。
「日本でも質問されることはあるけれど、日本人は『何』を使っているのかとか細かいパーツを聞いてくる。ベトナムの人は『なぜ』これを使っているのかと聞いてくる。」という違いに気が付いた田中くん。
『何』と聞かれれば答えるのは簡単ですが、
「ただ『なぜ』と聞かれても『実験を繰り返して自分たちのマシンに合うセッティングを探った』としか答えられないんですけど」と言いながらも、実験方法や考察の流れなどを自分たちなりに伝え、「自分のマシンに適用するときはそれに合ったものを選ぶようにしてほしい」と付け加えたそうです。
ところで今回、まさにその場で大会が行われているかのように情景豊かに語る田中くんの話にわくわくして聞きほれてしまいました。
ベトナムの選手たちからの質問やそれに応対するときも、よくこんなにしゃべれるなと自分でも驚いたという田中くん。
「それだけ日ごろからよく考えるようになったんだと思う。」と話してくれました。
常日頃から考えるようになったことで、とっさの質問やトラブルに対してもすぐに対応できるようになってきたと自分でも成長を実感しているようです。
「歴代の先輩方も思慮深かった。自分もそうなりたいと思う。」と言いながらもすでに身についてきた様子。
「先輩もこう感じていたんだなと思う」ことがあると言います。
そこに立ってみないと見えない景色。部長になって、ベトナムに行って、先輩方が感じたものと同じ思いを抱いて、田中くんたち自動車部の3年生部員は大きく成長する機会を得られたようでした。