全国大会まで1か月を切った自動車部。
夏の暑さでバテ気味だった体にも、大会が近付き、暑さが和らぐことで少しずつ緊張感が増してきたように感じられます。
エンジン班では1年生の小関くんが何やらアルミ板を細工していたので尋ねると「エンジンのオイルパンを作っています」と製作途中のものを見せてくれました。
大会ではエンジンからオイルが漏れた時のための受け皿(オイルパン)を設置することが義務付けられています。
「今までは市販のアルミ皿を代用していたんですけど、6月のもてぎ大会の車検で、それじゃカバーできない部分があることを指摘されました。それで作ろうということになったんですけど、どうせ作るなら立派なものをという話になりました。」と話してくれたのは部長の田中くん。
割としっかりした実験を繰り返したりものづくりにも精度を求めたりする姿を日ごろ目にしているだけに、アルミ皿で代用していたという事実に意外性を感じます。
ボディーのフレームにはまるように作られたオイルパン本体は田中くんと小関くんが一緒に設計製作したそうですが、そこからはみ出しているエンジンのお尻をカバーする部分は小関くんに任された様です。
「今までは先輩と一緒だったので心強かったんですけど、一人でやると大変でした。今まで迷えばすぐに相談したり、ちょっとした疑問もすぐに質問したりできていたことがありがたく感じました。」
と言う小関くん。取材中も何度か首をかしげながら作業を進めていました。
「でも、全国大会が終われば3年生の先輩方は部活ばかりやっていられなくなるだろうし、ここは一人でやり遂げなければと思いました。」
田中くんも「一人でやった方が成長してくれる」と信じて小関くんに任せたようです。
製作工程をのぞいてみましょう。
寸法を測ったらまずはダンボールで試作品を作ります。
本校自動車部は材料を無駄にしないために割とこうやってダンボールを使って試作する光景をよく目にします。こういうところが案外重要なのかもしれません。
アルミ板を万能はさみで切り出します。
アルミ板は柔らかい金属で、はさみだと切り口が曲がってしまうので、あて木をあててハンマーでたたいて平らにします。
曲げる箇所に印をつけたら寸法通りに曲げていきます。曲げる工程には折り曲げ器だけじゃなく、万力とモンキーレンチ、あて木とハンマーなど曲げる箇所によって様々な工具と方法を使い分けていました。
「切り出したアルミ板がまっすぐじゃないと、端に合わせて線をまっすぐに引いてもまっすぐにならないのが苦労しました。」
早くも精度の壁にぶつかった様子でした。完成したオイルパンを見て出来上がりには満足できていない様子でしたが、大会前でやることも山積みなのでそれで採用となりました。
他の班の1年生も少しずつ仕事を任されることが多くなってきました。まだ失敗をしたり満足のいかない仕事で終わったりすることもあるでしょうけど、それも学びの一つです。そうやって責任感が生まれ理解度も少しずつ深まってきたようで、以前よりもずっと生き生きと部活動に参加しているように感じられました。
メキメキと成長している1年生の仕事も生かされている自動車部、全国大会は9月29日(土)30日(日)にツインリンクもてぎにて開催されます。