全国大会まで残り2週間と間近に迫ってきた自動車部です。この時期になってもまだまだ良い結果を出そうと実験や研究を繰り返しています。
ここしばらく、ボディー班の班員が何やらエンジンの周りで作業をしているのを見かけます。何をしているのか覗いてみるとエンジンの断熱カバーを製作中なのだとか。
エンジンは暖まった状態の方が燃費には良い結果を出します。これまではスタート直前までバッテリーでエンジンを暖めることが出来ていましたが、今シーズンのルール改訂の中でエンジンの暖機を一部禁止されてしまいました。そこで、暖まったエンジンの熱をこれまで以上に逃がさない装備が必要になってきたのです。
「これまで使っていた断熱カバーは複雑な形のエンジンに合わせて複雑な形をしていて、作った本人じゃないと取り付けられない構造になっていました。隙間も多くてきっちり断熱できていなかったところもありました。」そう話してくれたのは2年生の永長くん。
そこで誰にでも取り付けが簡単で、なおかつ完全な断熱装備ができないか試行錯誤する日々が始まりました。
まずはエンジンの複雑な形をどうカバーしてシンプルな形に仕上げるか。エンジンの凹凸に合わせた断熱材のパーツを幾重にも重ねることで周りとの凹凸をできるだけなくし、最終的な見た目は箱型になるように仕上げることを思いつきました。
細かい凹凸に合わせて型紙をとっていきます。
型紙に合わせて断熱材となるカーボンフェルトを切り取っていきます。
何枚重ねると周りとの凹凸がなくなるか、その箇所ごとに違うので一枚一枚、切り取っては重ね合わせてを繰り返していきます。
重ね合わせる枚数が決まれば手作業で縫い合わせて、それぞれのパーツも一体型となるように縫い合わせていきます。
「一体型になることで取り付けやすさが向上したと思います。」と話してくれたのは2年生の永長くん。確かに凹凸を合わせるだけで自然と位置が決まるので、取り付けは格段に簡単になったように感じられました。
次に密着性を高めるために、縫い合わせた断熱材をファスナーテープで固定してみると、随分と立派な仕上がりになりました。どこからも熱が逃げる気がしません。
最後にFRPと樹脂でカバーを作りました。
これぞボディー班の真骨頂とも言うべき作業ですが、2年生の永長くんは「ボディー製作ではしっかりした型に積層していましたが、エンジンを型に積層するのは難しい」と樹脂がうまく張りつかない状況にだいぶ苦戦した様子でした。
それでもなんとか完成させることができました。
3年生の秋山くんに出来栄えを聞くと「うーん…」とあまり満足のいっていない様子。
いつもそうです。秋山くんは傍から見ると随分良いものを作っておきながら、得意満面になることはありません。いつも謙虚に「もっといいものができたかもしれない」と向上心を忘れません。
そもそもエンジンの断熱をボディー班に任されたのも、FRPの扱いに慣れているということもありますが、緻密で良い仕事をしてきたことが認められているからなのです。
エンジン班の2年生前﨑くんに出来栄えをうかがってみると、「想像していたよりずっとすごいものができてきました。取り付けはどうしてもまだ複雑に感じますが、断熱装備としてはやり過ぎだと思うくらい立派です。」と太鼓判。
ボディー班の作った断熱カバー、これがどれだけ燃費に影響するのか、全国大会がますます楽しみになってきました。
全国大会は9月30日(日)栃木県のツインリンクもてぎにて行われます。