全国大会を終えて1か月が経とうとしている自動車部ですが、今週末には今年最後の大会となるEV競技会が開催され、それに参加するために準備にいそしんでいます。
3年生部員が課題研究などの授業が忙しくなってきているためほとんど部室に顔を出せない状態で、部室は一気に寂しくなった感じがしますが、1,2年生が中心になって活動はしっかり行われている様子でした。それでもやはり経験豊富な3年生の知恵を借りなければならない時もあって、そんな時は3年生部員も代わる代わる部室に顔を出して後輩を指導している姿も見られます。
上の写真はバッテリーをお湯で温めて充電効率を上げる実験の様子。EVならではの実験です。
タイヤ班にはもともと2年生部員の配属がなかったため、3年生部員が来られない時は1年生部員だけで活動しなくてはなりません。
EV大会に向けてやることもたくさんある中、ハブが変形してしまったため交換を余儀なくされてしまいました。ハブの交換はなかなか手間のかかる作業で、時間のない中、1年生の篠田くんにとっては初めての作業でやや荷が重いんじゃないかと周りは危惧していました。
ハブの交換手順をのぞいてみましょう。
まずは特殊工具を使ってホイールからスポークを外していきます。
特殊工具は使ったことがあるようでここはお手の物。
余裕の笑顔を見せつつ「これでいいのかな~?」とゆるい感じで作業を進めていきます。
ホイールから外れたらハブからスポークを外していきます。
スポークが全部外れました。中心のハブを新品に交換します。
ハブを交換したらまた同じようにスポークを取り付けていきます。篠田くんにどの作業が一番難しかったかと聞くとここの作業を上げていました。
「1本つけて、次のをつけようとしたら外れるんですよ。だから1本つけるごとに仮留していかなきゃいけなくて。それに無理にやるとスポークが傷ついちゃうこともあって、慎重に進めました。」
話を聞いただけでも時間のかかりそうな作業だったので油断したのもありますが、なんと写真を撮る余裕もないうちにほぼ作業が終わって次の行程に移っていました。
最後はホイールの振れとり作業です。
タイヤは真円に近いほど転がり抵抗が少なくなって燃費に優しい走りができます。ホイールを真円に近づけるためにはスポークの張り具合を調整していきます。
つまり真円より膨らんでいるところがあればスポークの張りを強くするし、詰まっているところはスポークを緩めることでバランスをとっていきます。
これが、こっちを緩めたらあっちも膨らんでとバランスが難しい作業で、歴代の先輩の中にはこの作業に3か月もかかった人がいるという伝説も残されているほどです。
ところが篠田くん、これもあっという間に仕上げてしまいました。
スポークがバラバラになってから1本仕上げるまで、ものの3時間程度。初心者とは思えない驚異的な速さです。
篠田くんに作業を教えながらも、いつも自分では振れとり作業に苦労している3年生の水上くんは「もう、すごいとしか言いようがない。」と感心しきりでした。
「自分が思っていたよりもうまくいって良かったです。分解と組み立てを通してタイヤの基礎的な部分も理解することができて良かったと思います。」
周りも驚く作業を成し遂げたというのに、篠田くん本人は至って平常心。
とは言え大会までもう一週間を切っています。
「まだ他のタイヤの振れを確認していない」というタイヤ班。前後輪合わせて3本、2台分で残り5本を2~3日で仕上げなければいけません。
「がんばりま~す」と緩く宣言して、同じくタイヤ班の1年生の相野谷くんと協力してタイヤの整備作業に取り掛かっていました。
篠田くんの組み上げたタイヤが走るEV競技会は11月3日(土)成田市にある日本自動車大学校(NATS)にて開催されます。
エンジンをモーターに積み替えて2時間の規定時間内にコースを何周走れるかを競います。3年生のドライバー田中くんにとってはラストラン。楽しみです!