11月3日(土)に日本自動車大学校(NATS)にてNATS EV競技会2018が開催され、本校自動車部から2チームが参加しました。
本年度の最後の大会参加となりました。本校自動車部では卒業まで引退はありませんが、3年生にとっては最後の大会となりました。
3年生の水上くんは10月に行われた全国大会が台風の影響で日程短縮された分、このEV競技会へかける思いはこれまでと違ったようです。
「全国大会で優勝はしたものの、日程短縮でチーム力を最大限発揮することができませんでした。最後の大会になるし、ここで発揮したい。」
水上くんは通学片道2時間半の遠距離通学にもかかわらず1日も休まず、部活にも加入する頑張り屋さんです。2年次までは通学に時間がかかるからと一人部活を早めに切り上げて帰ることもありましたが、3年生になってからは責任感ゆえか、部活動が終わるまでみんなと一緒に最後まで作業をして部に貢献してくれました。人一倍頑張った分、思い入れも人一倍のようです。
大会当日も体調が悪かったようですが、泣き言も言わずに黙々と仕事をこなしてくれていました。
そんな水上くんは部活ではタイヤ班を務めています。
EV競技会では練習走行中にAチームのタイヤがパンクするというトラブルが起きました。水上くんはBチームのデータ収集係についていたのですが、他の人に任せてタイヤの修正に駆けつけてくれ、同じタイヤ班の1年生相野谷くんと一緒に本番走行までに作業を間に合わせてくれました。
「最後の大会だし、なんとしても本番走行のグリッドスタートに間に合わせたい一心で作業をしました。」
それを受けてAチームドライバーで部長の田中くんは
「タイヤ班の2人には指示だけ出して作業は任せました。指示がすんなり通ったのはさすが作業に慣れているからだと感じました。」
と信頼を寄せているようでした。けれども水上くんには少し悔いが残っているよう。
「本当は修理したタイヤで練習走行にもう一度出したかった。そこまでには間に合わせることが出来なくてドライバーには申し訳なかった。」
いつもとは違う環境で限られた時間内に作業を終わらせることだけでも立派だと思うのに、最善を尽くしてもなお、もっとできたんじゃないかと思うのが水上くんの向上心につながっているのだと感じました。
実はタイヤ班にはもう一人部員が配属されています。1年生の篠田くんです。タイヤがパンクした原因は外因的なものだと思われましたが、自分が整備したタイヤに不備があったのではないかと気にしている様子でした。しかし篠田くんはBチームのドライバーなのでこの時は作業に参加できませんでした。
篠田くんに「見習いたい先輩は?」と聞いた時に水上先輩だと答えてくれたことがあります。
「一緒にいておもしろいっていうのが一番なんですけど、失敗しても作業を続けられる強さがすごいと思います。自分にはそういうところがないので、見習いたいです。」
水上くんは2年生の途中からタイヤ班に配属されたこともあって、タイヤに関してはミスもたくさんしたようでした。それでもタイヤ班の仕事を投げ出すことなく根気よく作業に取り組んでくれた責任感を、後輩もちゃんと見てくれていたんだなと感じました。成功ばかりが後輩を育てる要素ではないのです。
結果、タイヤがバーストしたAチームが本番走行ではトラブルもなく見事優勝を勝ち取りました。
「単純に嬉しいです。ドライバーの田中くんも無理な運転をすることもなく、頑張ってくれました。タイヤも大丈夫で本当に良かった。」
謙虚な水上くんもここでは素直に喜びを表現してくれました。
3年間いくつかの大会を経て成長できたことは?と質問すると
「1年生の時よりは時間をちゃんと見て行動できるようになったかな。時間の大切さを知ったと思います。1年生の時には人に任せきりにするなと言われたこともあって、そういうところも意識してきました。」
自分なりにもしっかり成長を感じているようです。
「後輩はまだ大会になるとおどおどしてる姿も目立ちます。特に2年生は普段の部活の力が発揮できていないような気がしました。」
と後輩の様子をちゃんと見てくれていた水上くん。
「卒業したら来年、後輩たちの動きを見に行きたいです。何度も言うようですが、大会前は本当にシミュレーションしてほしい!」
これから3年生は課題研究で忙しくなるので部活にはほとんど顔を出せない部員も出てきます。それでもやっぱり部活の様子は気になるもの。
後輩たちにはそんな先輩方が安心して卒業していけるように張り切ってもらわねばなりません。
そしてこの先も応援してもらえるよう、部活を盛り上げていってもらいたいと思います。
次回以降もしばらくはEV競技会レポートと称して、3年生の思いを中心にお届けしていきたいと思います。