11月3日(土)に日本自動車大学校(NATS)で開催されたEV競技会が最後の大会となった3年生。
エンジン班の石塚くんはどういう気持ちで最後の大会に挑んだのかと聞くと
「緊張はしていませんでした。普段と変わらずフラットな気持ちで挑みました。」と話してくれました。
実は石塚くん、課題研究という授業の中で研究している風力発電の大会が大会の翌日に控えていました。前日も風力発電の研究に没頭していたため、部活動にはほとんど顔を出せずに最後の大会を迎えたことになります。
石塚くんに限らず、他の部員も大会前は課題研究に没頭して実は部活動にはあまり顔を出せませんでした。それでも後輩が困って先輩を頼ってきたときには、部室に行って教えたり細かい指示を出したりする姿が見られました。
そんな状況の中でも大会になるとスッと馴染めるのは、やはりそこは3年生だなと感じさせてくれます。
Aチームのマネジメントを担当していた石塚くんは、練習走行時にタイヤがパンクしたことに焦りを隠しきれなかったと言います。
「タイヤ班の水上くんと相野谷くんが頑張ってくれたので、本番走行には間に合わせることができて本当に良かったです」
Aチームのドライバーで部長の田中くんが冷静だったことも良かったと言っていました。
実は田中くんとは中学生のころからの付き合いで、高校に入ってからも同じ部活の中で切磋琢磨してきた仲です。レース中はいつもドライバーの田中くんとの連絡係を担当し、2人だからこそ作り上げられる絶妙な呼吸で数々の好成績を残してきたのでした。
今回の優勝について聞いてみると「優勝できたのは田中くんの実力」と手放しで褒めていました。
大会が終わってからも風力発電の研究が続いていて、部室ではもうほとんど顔を見なくなりました。
後輩に願うことはと聞くと「常に謙虚であってほしい」とメッセージを預かりました。
慢心してしまうことでせっかく吸収できる知識も技術もすべてシャットアウトしてしまいます。常に謙虚な姿勢で貪欲に学んでほしい、3年間部活を通して学んだことでした。
同じエンジン班の1年生の小関くんは「石塚先輩は質問をしてもあっさりしているところがあって、自分を育てようとしてくれているという思いが伝わってきました。」と話してくれました。
2年生の前﨑くんも「自分が来年3年生になったときに後輩にちゃんと指導できるように育ててくれたのは石塚先輩」と言います。
質問を受けてもすべて答えてしまうと後輩が考える余地がなくなってしまいます。必要なところだけ知識を与えてあとは考えさえること、リカバリーできる分には失敗を経験させることも実は大事な教えなのです。石塚くんも先輩たちからそうやって学んできました。失敗した経験がある、たくさん勉強しても分からないことがある、そういう経験をするからこそ、『謙虚であること』が大事なのだと理解できるようになるのです。
石塚先輩に教わったことを、しっかりと来年の後輩にも引き継いでいってもらえたらと思います。