本校自動車部は大会には毎回2台で出場していますが、そのうち1台は前年度のマシン、もう1台はその年の新車で出場しています。つまり、毎年1 台、新車を製作しているというわけです。
前年のマシンが優勝してどんなに性能が良くても、そこで満足することは決してありません。常に可能性を模索してさらに上を目指す、そのためには苦労も失敗もいとわないのが本校のスタイルであり、誇りでもあります。(なので改良のつもりが「改悪」になってしまうことも過去にありました。)
現在製作に取り掛かっているマシンは、来年度の新車になります。
まずはボディーの型を成型しなおすところからです。
夏に行われていた風洞実験の結果をもとに、これまでの型をどう修正すれば良いかを模索していきます。前回のマシンでも十分空気抵抗は少なくなってきていましたが、それでもまだ後方の空気の流れを妨げている部分があったようでした。
本校のボディーは上下に分かれる形になっていますが、今回は下側だけを修正するようです。
「アッパーカウルの方は時間がなくて。確実に修正が必要なアンダーカウルを重点的に改良しています。」と話してくれたのは2年生の永長くん。
永長くんが任されていたのはアンダーカウルの後方の改良でしたが、それと同時進行で前側も修正がかけられていました。
新車ができたばかりの6月の大会では顎が出すぎていて風の流れを妨げていることが分かったので、そこを修正して9月の全国大会に挑んだのですが、今度は平らにしすぎて弱くなってしまったそうです。
強度が落ちると、走行中に前方から受ける風の影響でボディーがたわんでしまい、風の流れを妨げてしまう形に変形してしまうことも考えられます。軽さが命の燃費競技ですが、強度も大切な要素なのです。
「だから少しだけ顎を山なりにすることで強度を確保するように修正しているんです。」
任されているのは後方なのに、前方の修正についても詳しく教えてくれた永長くんは、3年生不在の中、型とじっくり向き合いながら毎日せっせと削ったりパテで盛ったりして、すっかりボディーの責任者の顔になってきました。
「春休みに入るまでには型の成型を終わらせたいです。」
先の予定も見越しながら、それでも目の前の仕事を慎重に進めている姿が頼もしく映りました。
他のセクションでも部員同士で話し合いながらより良いものを作ろうと頑張っている姿が見られます。
11月の大会が終わってから3年生が顔を出してくれることもほとんどなくなりましたが、1,2年生の意識が少しずつ高まって責任感も増したように感じます。
3年生が卒業していく頃には、部活動を安心して任せられるような部員たちに成長していってもらえたらと願います。