寒い日が続いていますが、自動車部では毎日活動にいそしんでいます。
ストーブをガンガン炊いていますが、活動を行っている部室が広いので、もはや気休めにしか思えないほどです。
そんな寒い中、型を削るために水を使って腕まくりをして作業をしているボディー班の部員もいて、熱心だなあと感心します。
ボディー班の横ではフレームの改造が行われていました。
昨年から車高を下げて安定感のあるマシンを製作するようになり、それに合わせてタイヤの取り付け位置が変わるので、フレームも高さを変える必要があります。
既存のフレームを一度解体して、新しい部材を足していきます。
部材の接合は半自動溶接で行います。
この作業で溶接を任されたのは1年生の捧くんです。
「狭いところや角度をとれないところの溶接が難しい」
自分なりに工夫して試行錯誤しているようですが、うまくいかずに穴が開いてしまうこともあるようです。1か所だけでなく数か所失敗しているところが見られました。
捧くんの作業を2年生の前﨑くんがやや不安げに見守っていました。自分も溶接作業を任されたことがあって、そんなにうまくいかなかったから人のことを言える立場ではないんですけどと言いながらも、
「顧問の先生にも言われていたけど、捧くんは気持ちのどこかに『先輩たちがやったようには、うまくできなくても仕方ない』という逃げ道を作ってしまうのかもしれません。本当に上達したいと思うなら、もっと練習して、先輩たちよりも上手にできるよう頑張ればいいだけです。」
溶接に限らず、捧くんには他の作業でもときどきそういう気持ちがどこかに現れるときがあると前﨑くんは言います。
そう言う前﨑くんは、彼自身も捧くんと同じように『甘え』を持っていて、それじゃいけないと気が付いたからこそ後輩にも気が付いてほしいと思っているのだと感じました。部活の先輩としても、人生の先輩としても、後輩に本気で向き合っているからこそ、厳しい意見も言えるのだと思います。
もちろん、捧くんを応援する仲間もいます。小関くんは同じ1年生として、自分のことのように心配そうに見守っていました。
「今はまだ上手だとは言えないけれど、それも経験だと思います。もっともっとたくさん経験を積んで上達してくれたらと思います。」
小関くん自身もまだまだ勉強中。うまくいかずに失敗することもたくさんあります。でもその経験を無駄にすることなくしっかり経験値として積み上げて着々と成長しているようです。
同じような経験をしてきたからこそ、それを乗り越えてほしいと思うし、乗り越えられるはずだと信じているのだなと思いました。うまくいかない時に励ましたり慰めたりするだけが仲間の役割ではありません。時には厳しくも暖かく見守ってくれている仲間に囲まれて、部員としても人間としても大きく成長していってもらいたいと思います。