前年度のHondaエコマイレッジチャレンジ全国大会高校生の部において優勝したチームへの副賞として招待される文化交流プログラムに、本校自動車部員の代表者5名が参加し、5月23日(木)から28日(火)の6日間をベトナムで過ごしました。
25日(土)と26日(日)はベトナム大会に参加しましたが、それ以外の日程はベトナムの市街地などを視察して過ごしました。
このプログラムに参加するのは今年で3度目となりましたが、毎回聞かされるのはとにかくバイクの数が多いということ、交通事情がすごいということです。
「緊急車両って他の交通を止めて進むじゃないですか。それは日本と変わらないんですけど、その後ろから普通の車両が便乗して信号とかを無視してついていっているんですよ。」とその光景に心底驚いた様子で話してくれたのは永長くん。「ちょっとの隙間にもバイクが侵入してきて、すごいなって…」とすっかりベトナムの雰囲気にのまれた様子でした。
「バスから降りたら、その先は歩道のはずなんですけど、バスと歩道のわずかな隙間もバイクが通過していくので驚きました」と前﨑くんも続けます。「向こうはちゃんと見ているから大丈夫」とは言われていたのですが、実際に体験してみると本当に目の前すれすれを通過していくので怖気づいたと話してくれました。
話を聞いてバイク大国なんだなと想像していましたが、それもそのはず。今回はベトナムのバイクディーラーに見学に行かせていただいたそうですが、1店舗でひと月に通常1400台ほどのバイクが売れていくのだそう。1日平均40~50台と考えると、すごい数です。理解が追いつきません。
また、自動車に使われているハイブリッドやスマートキーなどの技術が、当然のようにバイクに搭載されているのを目の当たりにした前﨑くんが「日本では車に使われているような最新技術が、ベトナムではバイクにも使われるのだなと思いました。」と話してくれたのも、お国柄なんだなと感じました。
食べ物に関しての感想はそれぞれでした。
やっぱりネックはパクチーのようでしたが、苦手と言う篠田くんも「言われるまでパクチーが入っているって気が付かずに、生春巻きをおいしく食べていました。」と言っていたくらいで、薬味として使われていることが多かったようです。
それに対してパクチーがもともと好きだという秋山くんは「ベトナムのパクチーは日本で食べるものよりもえぐみが少なくておいしかったです」と話していました。総じてベトナムの食事は「日本人の口に合うんじゃないかな」という意見でした。
部長の永長くんは意外にも食に対する関心が強い様子で、みんなが敬遠した鳩の丸焼きもおいしいと食べていたそうです。「鶏肉って感じでしたよ。ベトナムではねずみとか蛇の丸焼きも出るらしいんですけど、今回は出ませんでした。日本では食べる機会がないので、食べられるなら是非食べてみたかったんですけど」と笑顔で言ってのけて、周りを凍りつかせていました。
レストランの飲み物はほとんどが濃いめのフルーツジュースで、見た目もきれいだしおいしかったと篠田くんが言えば、「キューカンバー(きゅうり)ジュースっていうのがあって、青臭いのかと思ったけどそんなこともなくておいしかったです。」と永長くん。
部活動中は慎重に慎重を重ねておっかなびっくり作業を進めている永長くんにそんな一面があったとはと、意外な一面を垣間見た気がしました。
「食事中にスコールが来て、雷が落ちたみたいで停電になったんですよ。たまたまテーブルにキャンドルが灯っていたから真っ暗ってわけではなかったんですけど、みんな平気で食事を続けていたのが面白かった」と話してくれたのは前﨑くん。その話からも目の前の食事がよほどおいしかったのだろうなと想像がつきます。
ガツガツ食べて失礼はなかったのかと心配していたら「ベトナムでは相手が食べきれない量の食事を出すのがおもてなしなんだそうです。毎回すごい量の食事が出てきて、自分でセーブしながら食べなきゃいけなかった」という話も聞かせてくれました。もてなしがいのある日本人だっただろうなと思います。
最後にベトナムという国について、それぞれの感想を伺ってみました。
「活気にあふれていた」「活力の塊」と表現していたのは永長くんと秋山くん。
「平均年齢が若いらしくて、熱量がすごいんです。テレビや本で見知った戦後復興中の日本のイメージと重なりました。」と永長くんは言います。
前﨑くんも「先端技術を取り入れつつ昔と変わらず過ごしているような雰囲気でした。勢いがあるのに、それでいて時間に縛られずにのびのびと生きている感じがしました。」と話してくれました。引率の教員もベトナムを「昭和30年代の日本と平成の日本が混在しているような国」と表現していました。
「雰囲気も文化も日本に近いところがあったので落ち着いていられました。」という堀口くんは初海外だったと言いながらも「海外に来ているんだよな?」と自分で確認しなきゃいけなくなるほど馴染んでいられたと話していました。「本当にいい国です。機会があればまた行きたい」と言えるほど良い経験ができたようでした。
2年生ドライバーの篠田くんは、プログラムに参加するまではあまり乗り気ではなかったようです。でも「ベトナムは想像していたよりもずっと近代的で進んでいました。」と言いながら、初めての海外で想像以上の刺激を受けて帰ってきたようです。言葉では言い現せないともどかしそうにしながらも、「初めて、外に出たって感じがしました。」といつもより興奮が抑えきれない自分に少し照れながら表現してくれました。「ベトナムに限らず、色んな国に行ってみたいと思うようになりました。」とも話していた篠田くんは、まだ2年生なので、運が良ければまた来年も行けるかもしれないと、全国大会に向けて俄然やる気を出したようにも見えます。
毎年、文化交流プログラムに参加した部員たちは目に見えて成長して帰ってきてくれます。ベトナムに大きな刺激を受けた部員がその熱量を部活に持ち帰り、3年生が不在の間にこちらもひっそりと成長した後輩たちとの相乗効果で、今、自動車部は活気にあふれています。このままの勢いで、また一年、たくさんの経験を積む彼らの成長が見られたらいいなと感じます。
貴重な機会を与えてくださった主催のホンダベトナムカンパニー・リミテッド様、本プログラムに関わって下さったすべての皆様、ならびに出発に協力してくださった保護者の皆様に感謝いたします。
ベトナムスパイスのきいた本校自動車部の活動が、これからも楽しみです。