以前、日本国内で他社の自動車生産工場を見学したこともあった彼らは、
その違いに驚いたと言います。
まず、ひとつの空間ですべての生産過程を見学できること。
部屋が仕切られておらず、プラットホームの状態からエンジンの組み立て、
溶接や塗装をぐるっと一巡できる状態で見られるそうです。
そのため、自動車がどうやって組み上がっていくのかを学ぶことができるのだそう。
また、ほとんどの作業が機械に頼らずに手作業で行われているということ。
日本では溶接工程や塗装工程などはラインに乗せてオートメーション化されているのに、
ベトナムではそれらのほとんどが手作業で、
車を移動させるのも人が手押ししていたそうです。
これらは、敢えてそうしているということです。
四輪車の生産は始めたばかりで、
一巡できる狭い空間でその生産過程を知り、手作業で関わっていくことで、
自動車の生産方法を学んでもらおうという狙いがあるそうです。
車を手押しで移動させるのも、次の行程が何かを知るためなんだとか。
その工程が、車好きな部員たちにはたまらなく興奮を誘うものだったそうです。
「ものづくりの基本を教えてもらっているような気がしました。」
と興奮を抑えられない様子で目をキラキラさせて話してくれたのは三浦くんです。
「どの生産工程も間近で見ることができたし、うらやましいと思いました。」
三浦くんがその話をしてくれると、
他の部員も寄ってきて盛り上がっていました。
よほど興味をそそられたようでした。
また、工場内を案内してくださった方が日本語を勉強中のベトナム人だったそうですが、
工場には日本人もいるなかで敢えてベトナム人に任せることで、
難しい課題を与えて社員に成長してもらいたいという思いを感じたそうです。
さらに工場にはそこで働く人物の写真が飾られていたのですが、
重役ほど下になる逆ピラミッド型になっていたそうです。
社員を役員が下から支えるという構図だという説明を受けて、
感銘を受けたとも話してくれました。
工場を見学したことで三浦くんは
「人間的に成長してもらいたいという思いで社員を育てているのだということが
すごく伝わってきました。」
と言い、「うちの部活と似ている」とも言っていました。
世界のホンダと肩を並べるなんておこがましい気も致しますが、
確かに、本校自動車部でも似たような考えのもとで部員を育てているところがあります。
それを三浦くんが感じ取ってくれていたということがまた嬉しい一言でした。
記念に帽子をもらったそうですが、
二輪のマークも四輪のマークも両方入っているものが手に入るのはここだけだと聞いて、
とても喜んでいました。
本当に車が好きな部員たちなのでよほど嬉しかったのでしょう。
次回は市街地の視察についてレポートしたいと思います。
ベトナムの文化に触れて部員たちが感じ取った思いをお伝えしていきます。