千葉県立下総高等学校Shimofusa High School

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自動車部 エースドライバー

6月22日(土)に栃木県のツインリンクもてぎを会場に開催されたHondaエコマイレッジチャレンジ2019第11回もてぎ大会。グループⅡ(高校生クラス)に28チームがエントリーする中、本校自動車部からも5連覇をかけて2チームが出場し、そのうち1チームが見事優勝を掴みとりました。

 

優勝したのは、できたてほやほやの新型マシンINNOVATION19を操縦した2年生ドライバー篠田くんです。篠田くんに新型マシンの感想を聞いてみました。

「昨年乗っていたマシンに比べると圧迫感があって視界もあまりよくありません。」

と篠田くんにとっては意外にもマイナスイメージが先行してしまった新型マシン。

昨年篠田くんが乗っていたのはINNOVATION16で、ちょうど17から軽量化と空力を重視したコンパクト設計を採用しました。その分操縦席も狭くなり、圧迫感は否めないところです。視界不良に関してはフロントスクリーン(窓)が歪んでいたせいだと話してくれました。

それでも、「その分、空力は良かった」と実感したそうです。

「感じ方が今までと全然違います。スピードが落ちた感じがしないんです。」

Hondaエコマイレッジチャレンジは、燃費を競う競技です。決められたコースを決められた時間内に走行する間、スタート時や上り坂ではエンジンをかけますが、一定のスピードが出てしまえばエンジンを切って惰性で走る距離の方が長くなります。もてぎ大会ではコースを10周しますが、1周する間にエンジンをかけるタイミングは2~3回。上り坂の手前でエンジンをかけるタイミングが迫ってきても、あまりスピードが落ちている感じがしないと言うのです。おそるべし、新型マシン。

 

練習走行の時から新型マシンの性能の良さを実感した篠田くんでしたが、本番走行では通信トラブルが発生して、マネジメント側の部員と連絡が取れない状況に陥ってしまいました。

ドライバーが走行している間、他の部員はタイムを測り、これまでのデータと照合して回転数やエンジンをかけるタイミングを変える指示を出したり、落下物がある場合などのコース状況をドライバーに伝えたりするために通信を行います。

「通信トラブルがなければ、記録はもっと伸びたかもしれないのに、悔しい」と篠田くんは言います。

そんな状況の中、何に心掛けて走行したのか聞いてみると

「時間内に走りきること、完走することです。」ときっぱりと答えてくれました。

篠田くんのドライバーとしての信頼が厚いのは、ここだと思うのです。1年生の初ドライブの時から、目標は「無事に完走すること」と、この信念はまったくぶれません。スピードレースではないので、競技者同士で激しい争いになることはないし、スタートも時間差で走行するので、実は走行中は自分がどの順位にいるのかも分からないレースです。「優勝を狙います」や「新記録を目指します」と言っても、走行中のドライバーがそれを意識してやることは相当ハイレベルです。だからこそのチーム競技なのです。そこは、チームのマネジメントに任せて、自分は無事に完走することを目標とする。お互いの信頼があってこそ、成り立つ競技なのだなと、篠田くんの言葉を聞いて改めて感じます。

 

本番走行ではチームのサポートを完全には得られずとも、優勝できたのはやっぱりチームのおかげと言いながら、これまでの経験が役に立ったとも話してくれました。

1年時のもてぎ大会、全国大会はもとより、その後のEV競技会と今年の5月に行ったベトナム大会での経験が大きかったと言います。

EV競技会の様子 同じコースを40周以上するので同じラインで走るための良い練習になるのだそう

EV競技会はエンジンをバッテリーに積み替えて2時間でコースを何周できるかを競います。スピードを出し過ぎるとバッテリーが消耗して停止してしまうのでこれも燃費競技に通じますが、2時間で同じコースを40周以上走るので、ラインどりなどのテクニックを磨けるのだそう。

また招待チームとして参加したベトナム大会では、エンジンの規格が違うために記録には残りません。だからこそ「ベトナム大会でしかできないことをやろうと思いました。」と言う篠田くん。

ベトナム大会での一場面 新型マシンに似た形状のINNOVATION18で参加したことも篠田くんにとっては良い経験だったと語る

マネジメントに相談もせずに設定速度を上げてみたのもそのひとつだし、「手放し運転も試してみました」と聞いてさすがに驚かされました。「先生からうちのマシンは(アライメントの精度が高いから)手放しでもまっすぐに走るんだと聞いていたので、試してみたくなったんです」と平然として言います。

そういったすべての経験を通して出てきたのは「ドライバーとして、自分が何をすればいいか分かり始めてきました。」という言葉でした。

 

それでもレース前はさすがに緊張していた様子の篠田くん。

昨年いた先輩ドライバーが卒業して、今年からエースドライバーとなったこと、新型マシンを初めて操縦すること、後輩ドライバーができたこと、色んなプレッシャーが圧し掛かっていたようです。

「1年生ドライバーの川口くんは体重が軽いので、脅威です。」と増えてきた自分の体重を気にするところもあります。

優勝チームのドライバーと言っても、普通の高校生だなと思い出させられる面があるのも、篠田くんの魅力です。応援せずにはいられない本校のエースドライバー、これからの成長がますます楽しみです。