7月だというのに梅雨のせいか気温が上がらない日が続いています。
そんな中、自動車部では大型送風機を使って部室内にガンガン風を送り込んでいました。
少しでも夏気分を味わいたいのかと思いきや、そういうわけではなく、風洞実験をしているところでした。
風洞実験とはフォーミュラ―カ―にも用いられる実験方法で、トンネル状の装置の中にマシンを入れて前方から風を通すことで、走行中の空気抵抗を再現する実験です。
本校の自動車部では部室のシャッターとコンパネをうまく利用して風洞装置を自作し、密閉状態の部室から大型送風機と換気扇で外側に空気を送り出すことで装置内に風を送り込んでいます。
燃費競技では空気抵抗も大きな要素になってきます。この実験結果をもとに来年の新型マシンの形を決める重要な実験です。
ただ今回は、まずはマシンのサイドに取り付けられたトランスポンダカバーの形状を決めるための実験なのだとか。
大会では周回数を記録するためのトランスポンダという機器が当日配布され、正確に作動させるためにマシンの外側に取り付けることが義務付けられています。小さな機器ですが、ガソリン一滴の燃費を競う大会では、ほんの少しの空気抵抗も命とり。そこでトランスポンダの周りの空気の流れをいかに邪魔しないか、取り付けカバーの試作が行われていました。
手の空いている部員が一つずつ試作品を作るコンペディション形式。名付けてトラポンコンペが、今年も開催となりました。(優勝しても景品は出ませんが…)
昨年はマシンの形に似せた形状のカバーが採用されたので、今年もそれに似た形が多いのは想像通りですが、中には面白いアイディア作品もいくつかあって、ひとつずつ実験していくのが待ちきれない様子でした。
自分が手掛けた試作品とあって、1年生も興味津々。最初は自分の試作品の結果に一喜一憂していた部員たちも、どうやらこの形が良いんじゃないと分かると、その形を元にさらにいくつかのパターンを協力して試作していました。こうなるともはやコンペではなくなるのですが、部員の顔は生き生きとして一人一人が積極的に参加しているという雰囲気で盛り上がっているのが伝わってきます。
1年生の郡司くんは「形を変えることで空気の流れが変わるのがおもしろい」と言って風洞の中をずっと覗き込んでいました。
1年生も自動車部の活動の真の面白さがだんだん分かってきたようです。
この勢いのまま、充実した活動を夏休み期間中にできればと思います。