千葉県立下総高等学校Shimofusa High School

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自動車部 全国大会レポート②

9月29日(日)に栃木県のツインリンクもてぎを会場に開催された、本田宗一郎杯Hondaエコマイレッジチャレンジ2019第39回全国大会のグループⅡ高校生クラスに、本校自動車部から2チームが参加した際のドラマをお伝えするレポート第2弾。

 

大会5連覇をかけて挑んだ大会の練習走行で2位3位となり、初めての「負け」を経験した部員たち。

その日は宿に帰ってミーティングを開きました。

ミーティングでは大会当日の流れや各係の動きを確認します。

また、何がいけなかったのか反省点をあぶり出し、明日への改善点を見つけようとしますが、なかなか答えを見つけられずにいました。

 

普段の部活動でもそうですが、顧問が口を挟まずにできるだけ部員の中から声が上がるのを待つ姿勢でいましたが、さすがに見かねた顧問が部員たちに話をしてくれました。

 

自分たちが取り組んでいるのは燃費競技だということ。

エンジンは暖まっている方が回転抵抗が小さくなるので、スタート前からできるだけ暖めておかなければなりません。

スタート前は外部電源でエンジンを暖めている

一方で燃料は熱を与えると膨張する性質があるので、エンジンや気温の影響で簡単に体積は増えてしまいます。ちょっと難しい話をすると、大会で燃料を受け取るときや返却するときは質量を測定して計算しますが、暖機運転で消費された分や不正を防ぐ目的もあり、スタート直前には体積を見て微調整が行われます。そこで膨張した分は抜き取られてしまい、走行する前から、燃料を消費したことになってしまうのです。

マシンに取り付ける前の燃料タンクは専用の保管BOXで太陽光を遮断し、ファンで熱がこもらない様管理される

スタート前は、暖機しているときの熱を逃がさないエンジンの断熱構造や、太陽光や気温の影響を受けない燃料タンク自体の断熱構造など、熱との戦いがものすごく重要になってくるのです。

燃料タンクの温度管理 マシン取り付け後もスタート直前まで断熱材で覆いファンを取り付けて燃料の膨張を防いでいる

 

今回、1位のチームとの差は”燃費”に換算するとおよそ20㎞/ℓという数字になりましたが、”燃料消費量”にするとわずか0.08ccでした。1ccでもなければ、0.1ccですらない。それよりももっと繊細な量なんだということ。そのわずかな量がどんな些細なことでなくなってしまうかというのは容易に想像ができると思います。

果たして、部員全員がそのことをしっかり理解して、作業一つ一つに気を配って取り組んでいただろうかという顧問の問いかけに、誰一人自信を持ってうなずける人はいませんでした。

スタート前待機エリアでも日傘をさして、ドライバーではなく燃料を守っている

「以前から、リザルトの表に書かれてある”燃費”以外にもどうしてこんなにいっぱい項目があるんだろうと気にはなっていたんですけど、そのままにしてしまっていました。」

と言うのはドライバーの篠田くん。

「先生の話を聞いて、それぞれの項目にそんな大事な意味があったんだと知りました。これまで見逃していた自分が情けないです。」

他の部員もみんな、”燃費”しか注目したことがなかった、順位ばかり気にしていたという声が聞こえてきました。それぞれの数字の意味をきちんと理解できていないのに、燃費を意識した繊細な作業ができていたはずがありません。

 

エンジンを見直したいという声も上がりましたが、それ以外の要素でもやれることはたくさんあるということを学び、決勝走行では燃料の温度管理やエアロパーツなどエンジン以外の部分を見直すことにしました。

さあ、いよいよ運命の決勝走行が始まります。

下総高校自動車部、5連覇に向けて、新記録に向けて前を見つめて走ります。

続きは次回、お楽しみに!