今年度参加する予定だった大会をすべて終えた自動車部は、来年度に向けてそれぞれの班が改良に取り組んでいます。
ボディー班は来年度の新型マシンの元になる型を削っています。
エンジン班は新しく導入するデジタルコントローラーのケースを製作していました。
タイヤ班では古くなって劣化したタイヤチューブを更新していました。
本校自動車部が使用しているホイールは20インチですが、その大きさのチューブは手に入らないので、26インチのチューブを加工して使用しています。
チューブを小さくすると一言で言っても、作業はなかなか複雑です。作業工程をご紹介しましょう。
まずはチューブをホイール径に合わせて適当な長さに切ります。
表面をパーツクリーナーできれいにしたら、片側の端を折り返します。
「この折り返す幅が重要なんです。大きすぎても小さすぎてもダメなんですよ。」
作業しながらそう教えてくれたのはタイヤ班をけん引している2年生の篠田くん。ひとつひとつ理解しながら作業を進めることに定評があります。
チューブの切り口にはそれぞれ自作したと言う治具をはめて、ゴムのりを塗布していきます。治具はなんのために使っているのか聞いてみると、
「ゴムのりは溶剤が入っていてゴムを少し溶かしてくっつけるという性質があるので、塗るとゴムが勝手にめくれてしまうんです。だからそうならないように抑えているんです。」と教えてくれました。
続けて「のりを塗るのは折り返した端から8㎜の幅です。」と説明しながら丁寧に作業していきます。チューブの接続で一番気を遣うのはしわを作らないことです。全体にのりを一気に塗ってしまうと、しわになることが多いので、塗布は2段階に分けて行うのだそう。
もう片側の端にもゴムのりを塗布したら溶剤が乾くのを待ってから接着します。
治具を外して折り返しを元に戻したら上から専用工具で圧着します。
ここからは空気を少し入れてチューブを筒状にして作業していきます。
先ほど8㎜だけ接着したところを、接着されているギリギリのところまでめくり返して、ゴムのり第2弾を塗布します。
篠田くんは「このギリギリまでめくる力加減が難しいんですよね。」と言いながら慎重に作業を進めていました。
ゴムのりを塗布したら乾くのを待って、再び折り返しを元に戻して空気を抜いてから接着・圧着します。
チューブの接続以外にも、バルブ付近は弱くてゴムが伸びてしまうことが多いので、切り落としたチューブの残りでパッチを作ってバルブの両脇を補強していました。
それから「チューブを長持ちさせるにはどうしたらいいかネットで調べてみたんですよ。」と言う篠田くん。
ゴムは紫外線に弱い、空気に触れることを嫌う、と調べたことをいくつか挙げながら「あとチューブ同士がくっつくのもダメなんです。」と言って、チューブの表面にベビーパウダーを丁寧に塗っていました。
出来上がったチューブは一度通常よりも細いホイールに組み込んで規定圧力をかけて1日慣らし、次に通常の太さのホイールに組み込んで規定圧力をかけて慣らしたら完成です。
この作業工程をどれだけやるのか聞いてみたところ、スペア分も合わせて全部で18本あるのだとか。なかなか根気のいる作業です。
タイヤチューブの更新が終わっても、後輪のベアリングの洗浄やシャフトの改良、新型マシンに合った泥よけの製作など、オフシーズンにもやることは盛りだくさんの様です。
他の班も改善に向けて意欲的に取り組んでくれているようで、レースのない時期も自動車部は活気があふれているようでした。