ここのところ自動車部を覗いてみると新型マシンの型作りに励んでいる様子が見られます。
11月18日(土)に行われたEV競技会から帰ってきたその日に、クラッシュしたマシンの廃車について決議し、この先迷いが生じないようにと顧問がその場で今年の型に刃を入れて踏ん切りをつけました。
廃車となったのは今年の秋に完成したばかりの新車です。新車作りに携わってきた3年生の厚海くんは
「今年のマシンを修理するのには時間もかかるし大変そうなので、それなら新しいものを作った方がモチベーションも上がるだろうということでした。自分たちが作ってきた今年のマシンが廃車になるということには特に惜しい気持ちはありません。後輩にとってもやることがはっきりしていた方が良いと思いました。」
と特に未練を感じさせない様子でした。
既に新しい目標があるということはこれほど前向きになれるものなのだと感心しました。
作業に没頭していた2年生の秋山くんに新型マシンのコンセプトを伺ってみました。
「重心を低くすることです。
アンダーカウルの足回りを低くして、その分アッパーカウル側にタイヤがはみ出るので盛り上げる予定です。」
昨年から記録としては良い結果をたたき出しているものの、その陰で不運な事故が続いていることも事実です。今年は大会に出場した2台共にそれぞれ要因は違ったとしても、横転を経験しました。それを受けて重心を低くすることでドライバーの腕によらず、要因によらず、「横転しにくいマシン作り」を目指すということに決まったそうです。
秋山くんは1年生の頃から型作りに参加してきました。型作りの難しさを聞いてみました。
「左右対称に成型していくことですかね。」
測定具にはいろんな器具を使用しますが、削ったり盛ったりは結局人の手で行います。それを左右対称に成型していくことは口で言うほど簡単なことではありません。
成型作業を一緒に行っているのは「ダブル秋山」の片割れ、1年生の秋山くんです。
「ちょっとしたところでも不具合があると空力に影響が出てしまうので細かいところまでこだわるのが難しいと思いました。」
という1年生の秋山くん。
先輩の秋山くんについては「聞いたことをちゃんと返してくれる」と言うように、先輩が後輩を指導しながらも2人で相談しあいながら作業を進めている姿が印象的でした。
これまでは全国大会が開催される10月までにマシンを完成させればよかったのですが、新型マシンはもてぎ大会が開催される6月までに完成させる予定です。
3年生には春にはベトナム大会や修学旅行など普段の部活動ができない時間も増えてきます。
「やるしかない、間に合わせます。」
と意気込む2年生の秋山くん。
「型作りの中で一番難しいところを自分から進んで黙々と担当してくれている。周りは1年生ばかりだから誰も手を付けられないのを知ってのことだと思います。それを自然とやっているから後輩にはその偉大さが伝わっていないかもしれないけど、後輩にとっては話しかけやすくて頼れる良い先輩なんじゃないかな。もっと本人がそれを自覚して、自信を持って後輩の指導にあたってくれればもっと成長すると思う。」
3年生の先輩の中には2年生の秋山くんをそう評価する人もいます。(普段仲良くしている分、自分が言ったと分かると恥ずかしいから匿名だそうです。)
EV競技会ではバッテリーを配布されてからスタート時刻までの実に5時間もの間ずっと、バッテリーの温度管理を責任を持ってやり遂げた2年生の秋山くん。
その責任感と細かい温度管理を成し遂げる緻密さがあれば、新しいマシンも期待が持てる仕上がりになると信じています。